内密出産の法整備は国会でどこまで来たか
予期せぬ妊娠をした人が、病院の限られた職員にだけ身元を明かして出産する「内密出産」。熊本市の慈恵病院が2021年に受け入れを始め、国はガイドラインを示したものの、法律はまだありません。国会でだれが取り上げ、政府が何と答えてきたかを、会議録から機械的に集めて並べます。
議員
(最初 2017-05)
集め方:「内密出産」「こうのとりのゆりかご」「赤ちゃんポスト」「匿名出産」を含む発言を、国立国会図書館の国会会議録検索システムから2016年1月1日以降ぶん機械的に集めたものです(愛知の45人に限りません)。立場(質疑・答弁)は発言の冒頭の話者表記から機械的に分けています。要約も賛否の判定もしていません。最終取得 2026-09-17 11:10。
いま、政府は何と答えているか
大臣・副大臣・政務官・政府参考人としての直近の答弁です。語を含む文をそのまま抜いています。答弁は質問への答えなので、「この回の会議録」で質問とあわせて読んでください。
いわゆる内密出産により生まれた子供の出自を知る権利の保障については、令和四年に発出したガイドラインにおいて、医療機関等の対応の在り方をお示ししております。 内密出産について法制化の是非も含めて慎重に議論をするべき課題であると考えてはおりますが、自民党内でも御議論が進められていることも承知しており、我々こども家庭庁、法務省なども含め、関係省庁で連携して対応していくべき課題と考えてございます。
また、いわゆる内密出産により生まれた子供の出自を知る権利の保障につきましては、令和四年に発出したガイドラインにおいて、医療機関等の対応の在り方をお示ししております。 子の出自を知る権利は非常に重要であり、法務省なども含め関係省庁で連携して対応していくべき課題と考えておりますが、内密出産については、法制化の是非も含めて慎重に議論すべき課題であるというふうに考えております。
子の出自を知る権利は、委員御指摘のような内密出産等の場面で問題となってございます。 法務省は、例えば内密出産に関しては、戸籍法や民法という民事基本法制を所管する立場から、戸籍の取扱いや特別養子縁組が問題となる場面について、関係省庁と連携し、必要な協力を行ってまいりました。
直近の質疑
この性被害の時効という意味合いだけではなくて、今、内密出産についても議論進んでおりますけれども、出自を知る権利という意味合いでもやはり二十五歳では足りないと思いますので、御検討よろしくお願いいたします。
法務省として、この戸籍制度を所管する立場から、出自を知る権利の保障に関する戸籍情報の管理の在り方、また、制度的な検討に主体的に私は参画していただかないと、生まれてきた、第三者の卵子、精子の提供者、あるいは内密出産といったところで、子供が、自分がどういったところの戸籍があるのかないのかも含めてでありますが、子供が大きく迷うことになります。
政府は、内密出産ですとか、あと赤ちゃんポストについて、出自を知る権利などの課題も含めて、これは慎重な姿勢を示しております。
会議録に繰り返し出てくる論点
- 内密出産を法律で定めるのか(いまはガイドラインだけ)
- 生まれた子の「出自を知る権利」をどう保障するのか
- 母親の身元情報をどこが保存し、だれが開示するのか
- 内密出産をした人と子どもを、だれが・どの費用で支えるのか
当サイトが会議録を読んで整理した問いです。どの立場が正しいかは判定していません。
年ごとの件数
| 年 | 質疑 | 答弁 | |
|---|---|---|---|
| 2017年 | 20 | 21 | |
| 2018年 | 3 | 0 | |
| 2019年 | 16 | 11 | |
| 2020年 | 4 | 1 | |
| 2021年 | 1 | 0 | |
| 2022年 | 35 | 26 | |
| 2023年 | 1 | 0 | |
| 2024年 | 12 | 9 | |
| 2025年 | 12 | 10 | |
| 2026年 07月まで | 14 | 11 |
最後の年は年の途中までの数字なので、前の年とそのまま比べられません。国会の会期や委員会の開かれ方でも件数は変わります。
だれが国会で取り上げているか
「日数」で並べています。同じ日の質疑で何度言っても1日です。別の日、別の委員会で繰り返し持ち出しているなら、続けて取り組んでいる印になります。名前は会議録の表記のままです。
| 議員 | 会派(会議録の表記) | 日数 | 件数 | 会議の種類 | 最後に触れた日 |
|---|---|---|---|---|---|
| 伊藤孝恵 愛知 参議院 | 国民民主党・新緑風会 | 9 | 38 | 4 | 2026-04-07 |
| 阿部弘樹 衆議院 | 日本維新の会・教育無償化を実現する会 | 7 | 14 | 2 | 2024-04-10 |
| 梅村みずほ 参議院 | 日本維新の会 | 4 | 4 | 3 | 2022-11-18 |
| 岡本充功 衆議院 | 国民民主党・無所属クラブ | 3 | 6 | 1 | 2019-05-24 |
| 池下卓 衆議院 | 日本維新の会・教育無償化を実現する会 | 2 | 6 | 2 | 2024-05-29 |
| 柚木道義 衆議院 | 民進党・無所属クラブ | 2 | 3 | 1 | 2017-06-07 |
| 小林さやか 参議院 | 国民民主党・新緑風会 | 2 | 2 | 2 | 2026-07-10 |
| 玉木雄一郎 衆議院 | 国民民主党・無所属クラブ | 2 | 2 | 1 | 2022-01-20 |
| 小島とも子 参議院 | 立憲民主・社民・無所属 | 1 | 6 | 1 | 2025-11-28 |
| 水戸将史 衆議院 | 民進党・無所属クラブ | 1 | 6 | 1 | 2017-05-31 |
| 薬師寺みちよ 参議院 | 無所属クラブ | 1 | 5 | 1 | 2017-06-13 |
| 井戸まさえ 衆議院 | 国民民主党・無所属クラブ | 1 | 3 | 1 | 2026-04-10 |
| 日野紗里亜 愛知 衆議院 | 国民民主党・無所属クラブ | 1 | 2 | 1 | 2026-04-24 |
| 佐々木りえ 参議院 | 日本維新の会 | 1 | 2 | 1 | 2026-03-18 |
| 安藤じゅん子 衆議院 | 立憲民主党・無所属 | 1 | 2 | 1 | 2025-04-15 |
| 西田実仁 参議院 | 公明党 | 1 | 2 | 1 | 2018-03-20 |
| 自見はなこ 参議院 | 自由民主党・無所属の会 | 1 | 1 | 1 | 2026-05-22 |
| 伊東信久 衆議院 | 日本維新の会 | 1 | 1 | 1 | 2026-04-09 |
| 阿部知子 衆議院 | 立憲民主党・無所属 | 1 | 1 | 1 | 2025-06-10 |
| 猪口幸子 衆議院 | 日本維新の会 | 1 | 1 | 1 | 2025-04-16 |
| 衛藤晟一 参議院 | 自由民主党 | 1 | 1 | 1 | 2023-03-13 |
| 本村伸子 衆議院 | 日本共産党 | 1 | 1 | 1 | 2022-11-09 |
| 漆間譲司 衆議院 | 日本維新の会 | 1 | 1 | 1 | 2022-11-09 |
| 福島みずほ 参議院 | 立憲民主・社民 | 1 | 1 | 1 | 2022-05-17 |
| 仁木博文 衆議院 | 有志の会 | 1 | 1 | 1 | 2022-04-27 |
| 小川敏夫 参議院 | 立憲民主党・民友会・希望の会 | 1 | 1 | 1 | 2019-06-06 |
| 中島克仁 衆議院 | 社会保障を立て直す国民会議 | 1 | 1 | 1 | 2019-05-24 |
| 松平浩一 衆議院 | 立憲民主党・無所属フォーラム | 1 | 1 | 1 | 2019-05-24 |
| 遠山清彦 衆議院 | 公明党 | 1 | 1 | 1 | 2019-05-17 |
| 二之湯武史 参議院 | 自由民主党・国民の声 | 1 | 1 | 1 | 2019-03-27 |
| 井坂信彦 衆議院 | 民進党・無所属クラブ | 1 | 1 | 1 | 2017-05-31 |
参考人として意見を述べた人
委員会に呼ばれて意見を述べた議員ではない人です(会議録の表記のまま)。現場の医療機関や研究者の声はここに出ます。
| 名前 | 肩書(会議録の表記) | 日数 | 件数 | 日付 |
|---|---|---|---|---|
| 山縣文治 | 関西大学人間健康学部人間健康学科教授 | 1 | 2 | 2022-05-11 |
| 井戸まさえ | 民法772条による無戸籍児家族の会代表 | 1 | 1 | 2022-12-06 |
| 蓮田健 | 医療法人聖粒会慈恵病院理事長兼院長 | 1 | 1 | 2022-02-25 |
| 才村眞理 | 帝塚山大学非常勤講師 | 1 | 1 | 2020-12-02 |
| 棚村政行 | 早稲田大学法学学術院教授 | 1 | 1 | 2019-06-04 |
答えた側
大臣・副大臣・政務官・政府参考人として答えた側です。質問する側とは立場が違うので別に出しています。
| 名前 | 役職(最後の答弁時) | 日数 | 件数 |
|---|---|---|---|
| 野村知司 | こども家庭庁長官官房審議官 | 5 | 10 |
| 塩崎恭久 | 厚生労働大臣 | 3 | 9 |
| 後藤茂之 | 厚生労働大臣 | 3 | 8 |
| 黄川田仁志 | 内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策・消費者及び食品安全・こども政策・少子化対策・若者活躍・男女共同参画・地方創生・アイヌ施策・共生・共助) | 3 | 5 |
| 三原じゅん子 | 内閣府特命担当大臣(こども政策・少子化対策・若者活躍・男女共同参画・共生・共助) | 3 | 5 |
| 金子修 | 法務省民事局長 | 3 | 5 |
| 葉梨康弘 | 法務大臣 | 3 | 3 |
| 根本匠 | 厚生労働大臣 | 2 | 6 |
| 古川禎久 | 法務大臣 | 2 | 4 |
| 岸田文雄 | 内閣総理大臣 | 2 | 3 |
| 吉田学 | 厚生労働省雇用均等・児童家庭局長 | 2 | 3 |
| 源河真規子 | こども家庭庁長官官房審議官 | 2 | 2 |
| 竹内努 | 法務省民事局長 | 2 | 2 |
| 安倍晋三 | 内閣総理大臣 | 2 | 2 |
| 加藤俊治 | 法務省大臣官房審議官 | 2 | 2 |
| 浜谷浩樹 | 厚生労働省子ども家庭局長 | 1 | 4 |
| 松井信憲 | 法務省民事局長 | 1 | 3 |
| 古屋範子 | 厚生労働副大臣 | 1 | 3 |
| 堂薗幹一郎 | 法務省大臣官房審議官 | 1 | 2 |
| 上野賢一郎 | 厚生労働大臣 | 1 | 1 |
| 平口洋 | 法務大臣 | 1 | 1 |
| 高市早苗 | 内閣総理大臣 | 1 | 1 |
| 齊藤馨 | こども家庭庁支援局長 | 1 | 1 |
| 津島淳 | 内閣府副大臣 | 1 | 1 |
| 友納理緒 | 内閣府大臣政務官 | 1 | 1 |
| 鈴木馨祐 | 法務大臣 | 1 | 1 |
| 小泉龍司 | 法務大臣 | 1 | 1 |
愛知の議員は
愛知の有権者の一票が当落に効く45人のうち、内密出産を国会で取り上げているのは次の議員です。
愛知の45人の発言はことがら「内密出産と特別養子縁組」にまとめています(こちらは2023-01-01以降)。
発言のあゆみ
全部 213 質疑 118 答弁 89 参考人 6 新しい順
この性被害の時効という意味合いだけではなくて、今、内密出産についても議論進んでおりますけれども、出自を知る権利という意味合いでもやはり二十五歳では足りないと思いますので、御検討よろしくお願いいたします。
法務省として、この戸籍制度を所管する立場から、出自を知る権利の保障に関する戸籍情報の管理の在り方、また、制度的な検討に主体的に私は参画していただかないと、生まれてきた、第三者の卵子、精子の提供者、あるいは内密出産といったところで、子供が、自分がどういったところの戸籍があるのかないのかも含めてでありますが、子供が大きく迷うことになります。
政府は、内密出産ですとか、あと赤ちゃんポストについて、出自を知る権利などの課題も含めて、これは慎重な姿勢を示しております。
それを防ぐために、様々課題は残されているものの、民間と自治体が共同して、追い詰められた母親と赤ちゃんを守る最後のとりでとして、いわゆる赤ちゃんポストや内密出産に取り組む医療機関が広がりつつあります。
四月七日の我が党の伊藤孝恵参議院議員の予算委員会の締めくくり質疑の中で、出自を知る権利というのは、今は内密出産のことをおっしゃいましたけれども、それだけではなくて、特別養子縁組、生殖補助医療、全部ひっくるめて検討していかなければいけないことであると。
となると、内密出産と何が違うのかというのが今の御答弁では私には理解ができませんでした。
二つ目は、内密出産のガイドラインの応用を行って、市町村長の職権での戸籍作成をするということです。 同じ無戸籍状態から出生届を提出するいわゆる内密出産においては、令和四年の九月に、妊婦がその身元情報を医療機関の一部の者のみに明らかにして出産したときの取扱いというガイドラインが、法務省の民事局長、厚生労働省医政局長、厚生労働省子ども家庭局長の連名で出されています。
大阪府泉佐野市のりんくう総合医療センターでは、親が育てることができない赤ちゃんを受け入れる赤ちゃんポストの新設を進めています。
いつまで調査をされるのか分かりませんけれども、では、この出自を知る権利、この内密出産のみならず、特別養子縁組や特定生殖補助医療もこれは範囲内と思いますけれども、これをひっくるめて今検討していただいているという御認識ですか。
平口大臣、実は、こども家庭庁や厚労省は、ずっとずっとこの内密出産、コミットをしていただいておりますけれども、法務省のコミットが今一番欲しているところでございます。 先ほど戸籍のことをおっしゃいましたけれども、実は、じゃ、内密出産をしました、ただ、やっぱりそれを取り消して自分で育てたいといったときに、今度は親権の話になります。
最後に、内密出産についても伺いたいと思います。 昨日、自民党孤独・孤立特命委員会のPTの松野博一座長、坂本哲志衆議院議員、あべ俊子衆議院議員の元閣僚お三方が、自民党の公式視察団として、こうのとりのゆりかごや内密出産を実施している熊本慈恵病院を訪問されました。
また、産んでもどうしても育てられないという場合に、赤ちゃんの命を守る内密出産という取組がございます。 ただ、これについては、内密出産の定義もない、ルールもない、監督官庁も決まっていない、出自を知る権利の対応への整理もないと、課題が山積しています。
赤ちゃんポストが設置されて十八年で、もう本当に多くの命が助かっているその現実も是非分かっていただきたいと思います。
産前産後ケアだけでは救えない、この隙間を埋める取組の一つがいわゆる赤ちゃんポストだと思っております。
この報告書には、将来あるべき姿として、出自を知る権利を保障する法整備、内密出産の法制化、父母の身元情報の適切な保存先と開示請求先の検討というのが挙げられています。
さて、この赤ちゃんポストあるいは内密出産の動き、この日本の中で少しずつ進みつつあります。 東京では、八か月になりますけれども、墨田区の賛育会病院がベビーバスケットという名前で赤ちゃんポストを始め、内密出産も受け入れております。
だから、横串を通すというのがこのこども家庭庁の意義だというふうに思いますので、是非その辺を、法務省共々、課題を整理をしながらということですがお進めいただきたいことと、そしてこれは、子供の出自を知る権利というのは、何も内密出産で生まれた子供たちだけではありません。 こうのとりのゆりかごに預けられた子供たち、もうこれ十八年たつわけですよね。
こういう状況から、母親が自分が誰なのかをほかの人に知られず安全な病院で子供を産むという内密出産の目的が、母と子のその安全を保証するものだということがお分かりいただけると思います。
さて、今年度に入りまして、四月一日、当時の三原じゅん子こども政策担当相、記者会見の中で、東京都墨田区の賛育会病院で受入れが始まりました内密出産について、先行する海外の法制度を今年度中に研究するという考えを明らかにされているところでございます。
その所信を受けまして、今からは内密出産についてやり取りをさせていただきたいと思います。 周囲に知られることなく医療機関で出産ができる内密出産について、昨年十二月十七日の参議院予算委員会で、石破前総理が、赤ちゃんの権利、人権を最大限に重んじる法体系ができないか、政府内で検討をさせたいと述べられました。
この数字の読み方
この道具の作り方
この問題を歌にしました
名前のない朝(内密出産のうた)
内密出産をテーマに当社が作ったオリジナル曲の PV です(曲: HeartMuLa、映像: MiniMax H3)。会議録の内容とは別のもので、この歌が誰かの立場を代弁するものではありません。 歌詞つきの動画ページで見る